坂を上ったり下りたりすると
田舎に似合わない高層マンションが
見えてきた。10階くらいはあるだろう。
「ココがあたしの家なの!」
「へぇ…こっちにもこんなに
高い建物があるとは驚き」
「ちょっと亮佑、馬鹿にしないでよ!
もう少し先に行けばもっとあるわよ」
いやぁ、すっかり畑と水田に
見慣れたもんだから。つい。
新しいマンションのようで
入口には防犯カメラもついている。
きっと上に行ったらもっと
景色がいいんだろうなぁ…。
その後もあちこちを駆けぬけ、
最後に河川敷に出た。
まずまずの広さで、大きな岩が
ゴツゴツしている。
川の中にも大きな岩があり、
そこを水が流れていて少し幻想的だ。
「ねぇ!!!」
河川敷でみんなで並んで座っていると
円香が突然提案してきた。
「みんなでココでキャンプしようよ!!」
ニッコリと笑う。
早苗は驚いた顔で渋る。
俺も、この河川敷の
状態を見て難色を示した。
テントを張ったりするには
ちょっと石が大きいし、
安定した平らな地面がないからだ。

