夏 色 の 風





髪が濡れたまま、

少ししょんぼりして居間に向かう。




「ぁ、亮ちゃん」





ばあちゃんと早苗、

一人の小柄な女の子がニッコリ笑う。




何?!

なんで笑うの!

俺、なんかやった?!

だっせぇけど、自意識過剰に

なっちゃうんですけどっ




「亮佑、まだ髪濡れてるじゃない」




早苗が女の子の隣から立ち上がり、

俺の横に来て髪をくしゃくしゃする。




「おい、やめろって」


「あはは、髪型変なのー」


「まだ濡れてるからっ!

乾かしたらいつものヘアーになるの!」






頭一つ違う俺と早苗。

密着して俺の頭を撫でる。

ばあちゃんや知らない女の子がいるのに、



――キュン。



俺の胸が鳴る。





「ナエちゃんと亮佑仲良し〜」


あははって笑う女の子。

へぇ、早苗って『ナエ』って呼ばれてんだ。





…って、ちょい待ち。


「呼び捨て?!」


いや、気にしない方だけどさ

いきなり過ぎない?

俺、女の子の名前知らないし!