それから数日間は
なんのトラブルもなく、
いつも通りの日常が続いていた。
買い物に行った翌日、早苗に
立石が来たことを話すと
一気に不機嫌になり、
「何か言われた?あいつ、なんか言った?」
とドスを効かせた顔で言った。
首を振ると、早苗はやはり不機嫌そうに
バイトに出かけて行った。
「ばあちゃん、立石って知ってる?」
ばあちゃんに聞いても、
なんだかはぐらかされる。
一体何なんだ…?立石って何者?
黒くモヤモヤとして、
べっとりと身体に張り付くような
嫌な何かが胸に流れる。
それが"嫉妬"だと気付くまで、
丸一日を要した。
立石の話しが出たのは
この時だけで、帰って来た早苗は
元気に笑っていたし、
ばあちゃんも何事も
なかったかのように振る舞う。
だから俺も、無用なツッコミは控えた。
どうせ、俺は期間限定の居候だ。
今何かを知ったところで、
どうということもない。
ただ…胸が痛むだけで。