結局早苗は6枚の服を買い、

満足そうに店を後にした。




喫茶店に行くと、まだ2人は

来ていなかったので外で待つ。




「そんなに買っちゃって…金あんの?」




一応聞いてみる。

俺の服はばあちゃんのお金としても。

1万は軽く買ったしな…

早苗もばあちゃんに金貰ったとか?




「内緒にしてね、いい?」


「は?…ん、あー…うん。」




早苗は深刻そうな顔で告げた。




「あたし、実は部活なんて嘘なの。

週に2回は本当に部活だけど

後の3回はバイトしてるんだ」


「えぇ?!ばあちゃん知ってんの?」


「言ってないわ。多分、反対するだろうし。

あたし、この家に来て

あんまり役に立ってないし…。

お小遣くらい自分で稼ごうと思って」




じゃあ今朝のは…

バイトに遅れそうだったから?

気付かなかった…全く。




「何の仕事?」


「この近くの飲食店。

先月から働き始めたんだけど、

学校のある日は遅くなると

ばあちゃんが心配するからさ、

ほとんど土日に仕事するの。

今は夏休みだから多く入ってて」




へー…。

早苗って意外とパワフルなんだなぁ…

学校行って、部活もして、

バイトもかぁ……。




「すげぇな。俺だったら

絶対もたない」


「好き嫌いするからよ。

トマトを食べろ!トマトを!」




またトマトかよ…

だから、少しずつ食べれるように

前進中だっつーの!!!




そんな話しをしていたら2人が来て、

喫茶店でたわいのない話しをしながら

晩御飯を食べて、帰路に着く。




こうして外食、ってのも楽しかったけど

早苗がばあちゃんに隠してる秘密を

俺に打ち明けてくれたことが嬉しかった。







夜、おやすみを言って部屋に戻ってから

ようやく立石のことを思い出す。

ま、明日でいっか…。




俺はその日、幸せな夢をみた。