夏 色 の 風





結局4、5枚の服を試着させられ

2枚に絞って買った。

お会計は、俺が払うと言ったのに

「いいのよ、ばあちゃんから

預かってるお金があるから」

と早苗が払ってしまった。




ばあちゃん…ありがとう…。

心の中で感謝しつつ、早苗に引きずられ

次の店へと移動する。




女の子の店で、やたらフリルがついた

ショートパンツやチュニックが

これでもか!!ってくらい並ぶ。




早苗はその中から、

シンプルな物を厳選して

鏡と睨めっこしていた。




当然俺は荷物持ちで、

自分の荷物+早苗の洋服+早苗の鞄を

持たされて、ぐったり…。




「コレどう?派手かしら」


そう言って見せられたのは、

シンプル イズ ザ ベストって感じの

薄水色の細身のワンピースだった。




早苗によく似合っていて、

この格好とこの美貌、スタイルなら

どこぞのご令嬢かと思う上品さがある。

口を開いたら一巻の終わりだが。




「そ、そうかしら…ちょっと試着する」


ごそごそと試着室で着替え、

中から小さな声で何か言っていたので


「え?何?」と聞き返すが、

「亮佑には言ってない!独り言よ!」


と突っ返されてしまった。




ならもう少し小声で頼む。