夏 色 の 風





早苗の言う通り、スーパーマーケットは

中々のでかさだった。

駐車場に車を止めてから、

二手に分かれる。




というのも、早苗は

「服が見たい!!」と言って

俺を無理矢理連れ出したのだ。




ばあちゃんと樽澤さんは

食料品の買い出しに行き、

1時間後に2階の喫茶店で

落ち合うことにしていた。




エスカレーターで2階に上り、

早苗は早速洋服店に駆け出す。




そこはなんと、メンズの店で

『もしかして立石に…?!』

と内心びくびくしていた俺だったが

「ちょっと、早く来なさいよ!」

早苗の声に身体を前に進める。




「亮佑ってばオシャレのセンスが

今ひとつなのよねぇ…

ほら、こういう感じなんてどう?」




笑顔で見せられたのは

まさかのアロハシャツ。

冗談が過ぎる。コレをココで

しかも帰ってからは都会で

着て歩けと…冗談だろ!




全力で首を振ると、

「あら、冗談よ。馬鹿」

つっこまれる。

これが冗談じゃなかったら

さすがに引く…。




「これは?」とか「あ、コレいいわ!」とか

早苗は次から次へと俺に持って来て

俺の身体に合わせながら、

あーでもない、こーでもないと

唸っていた。