夏 色 の 風





早苗が慌ただしく出かけると、

また普通に1日の仕事を始めた。




途中、ばあちゃんの知り合いが来て

居間でお茶会が始まったので

俺は一人で農作業を開始した。




ジリジリと暑い陽射し、

滝のように流れる汗。




ばあちゃをはいつも一人で

やっていたのか…と思うと、

やっぱすげぇなって思う。




ちょくちょく水分補給しながら

3時間くらい作業を続けた。




「すみません」




声をかけられたのは、

水分補給をしようと家に戻る途中だった。




垣根で覆われたばあちゃんの家には

木で出来た立派な門がある。

そこに、学ランを着た男が立っていた。




「はい?」


汗を拭いながら近づく。


「早苗の家、ですよね」


ぇ、呼び捨て?!


「あぁ…まぁ、そうですが」


知り合い?どなた?

俺、何も聞いてねぇよ?




「どちら様ですか?」


俺に聞かれた!


「いやいや、あの、

そちらこそ…どちら様ですか」



俺に聞くより先に名乗れっての!