夏 色 の 風





早苗の部屋は、ばあちゃんの隣の部屋だ。




俺の部屋とは、風呂場を挟んだ隣。




初めて踏み入れる早苗の部屋。

俺と同じ間取りだけど、

早苗の部屋にはベッドが置いてあった。

俺は布団なんですがね…




衣装掛けが窓際にあり、

大きめの机には難しい参考書が

ズラリと並んでいる。




すご…もしかして早苗って

俺より頭がいいんじゃ…。

い、いや、都会の荒波の中ビリ2を

保つ俺のほうが…!!




鞄は机の脇に下がっていた。

それを持つと、机の隣に

イーゼルとキャンパスが置いてある。




これで絵を描くのかな…

なんとなく壁を見ると、

油絵で花瓶にさしてある花の絵が

描かれていた。




これ…早苗が書いたのかな?




すごく上手い。

いや、上手いなんてもんじゃない。

美術館に飾ってあるレベル…。




すげぇなあ…




ぼんやりそれを見ていると、

「ちょっと!!鞄まだ!?」と

早苗の叫び声が。




慌てて部屋を出る。

あの荒っぽい早苗が、

あんな繊細な絵を描くとは…。




意外な一面が見れてよかった!