夏 色 の 風





「ごめ………ひゃっ」




――ゴロゴロ…ゴロゴロ…!




一瞬光って、大きな音が鳴る。

やば…近いんじゃないの、雷様!




とっさに早苗を見ると、

地面にうずくまって耳を塞いでいる。




「え、早苗…雷ダメ?」


「や…ばかっ、ち、ち、違うわよ!」




ツンしてるけどしきれてねーよ!

雷ダメなの丸出しじゃねーか!




再び空に閃光が走る。

俺も、稲妻をはっきりと見た。

すぐ後を追い掛けるように、

地面が震えるほどの爆音。




強がってた早苗も、

「ひょああ!!!」

と変な声を出して丸くなる。




「おい、…そこじゃ雨当たるだろ。

もっとこっち来とけ」




無理矢理立たせて、ベンチに座らせる。

そしたら、今度は俺の腕にくっついて

ガタガタ震え始めた。




だぁー…もう。

強がらずに怖いなら怖いって

素直に言えばいいのに。




早苗のような美少女から

『きゃあ!雷怖い!亮佑ぇ』

とか言われたら……でへへ。




が、現実はそう甘くなくて。




早苗は怖い、を通り越して

「雷の馬鹿!馬鹿馬鹿!バーカっ」

と悪態をつきはじめた。




雷に言ったってしょーがねーじゃん…。