そろそろ帰るか…と重い腰を上げる。
――ゴロゴロ…
うおっ
雷まで鳴る?!
しかも雨強くなってきてないか?!
……もう少し雨宿りしていこうか…。
いや、しかし今のうちに帰らないと
帰るタイミング失っちゃう…?
どうしようか考えあぐねていると、
赤いレトロなバスが走って来た。
一瞬ネコバスかと思っちゃったじゃん…
バスは俺の姿を見て止まる。
あ、申し訳ない!とバス停の中に戻ると
バスから見慣れた人物が降りてきた。
――早苗だ。
少しふて腐れた顔をしていた。
「って、ちょ!!
まだバスん中だったの?!」
「あたしはバス停にいるって行ったけど
どこのバス停か行ってなかったもん!
勝手にはやとちりしたの亮佑じゃん」
それは酷くね?
温厚(と思いたい)俺も、さすがに
怒るぞ、マジで!!
「なぁ、さすがに怒るぞ」
「…だって、ダッシュで行く!
って言うから…」
だからなんだよ!!
俺はお前が"濡れちゃダメなもの"が
あるっつーからダッシュで来たんだろーが!
ぷいっ、と顔を背ける。
表情は見えないけど、多分あっちも
『何よ!』って顔をしている。

