夏 色 の 風





食後、俺が自発的に皿を洗っているのが

信じられないのか、母はやたら興奮して

またばぁちゃんに叱られていた。




「あんなに落ち着きがない子だったかねぇ」


ため息と共に、そんな言葉が呟かれた。


分かる、分かる。


言葉には出さず、首だけ振って同意した。




そんな1人賑やかな母を放置して

いつも通り掃除を始めた時だった。


「今日は何時頃までいれるの?」


朝ごはんの後なのに、煎餅に

かじりつきながらうめき声を上げる。


「実は空港からここまで休まず来たから

ちょっと寝たいのよねー。

だけど今日中には家に帰るつもり。

明後日、お義母さんが急に

来ることになったから」


俺は窓ガラスを拭きながら、

思わず声が出てしまった。




父方の祖母は、ナツばぁちゃんを

『静』とするなら、反対に

『動』と表せるほど行動的で

猪突猛進なんて言葉がぴったりだ。



実は、俺はあまり得意ではない。

母も、『動』と『動』で被るらしく

あまり得意としていない。



母親が『動』の反動なのか、

逆にうちの父は『静』だ。

父方の祖父も『静』な人で、

普段は祖母の陰に埋もれている。

…分かりやすく言えば、存在感ゼロだ。



父方の祖父母は、ナツばぁちゃんの家より

我が家から近い場所にある。

父の兄、つまり伯父さんの家族と

同居しているため、

こちらから訪ねるのは年に数回だが

性格が『動』であるため、

何かあるとすぐ我が家に飛んで来る。