「…うん、美味しいっ」
ニッコリ笑うその顔に。
思わず顔が引き攣った。
「呼ばれて飛び出て
じゃじゃじゃじゃーんっ♪
噂をすれば影、なんちゃって!
母さん久しぶりねー。
亮佑預かっててくれてありがとう。
亮佑、ただいま!寂しかったー?
さっき"母ちゃん"なんて物騒な
単語が聞こえてきたから訂正するけど、
"ママ"って呼びなさいね。
百歩譲って"母さん"がいい〜」
早速始まった…。
これだからうちの"母さん"は
友達から"年齢詐欺"って言われるんだよ…。
見た目と中身が幼いですからね。
ちなみに人様の母親を"年齢詐欺"なんて
言い出したのは誰あろう直之ですが。
「誰もクシャミしてませんけど。
っていうかジェネレーションギャップで
分からない人いたらどうすんの?
昭和ネタだからね、それ。
見ず知らずの若い子にそれ言ったら
"おばさん"て呼ばれっからな」
あからさまに傷付いた顔の母。
しょんぼりとしながら、また卵焼きと
お浸しをつまみ食いする。
「やめなさい、菜々子!
みっともないんだから。
大体人の家に縁側から上がるなんて!」
「実家なんだし固いこと言わないでよー。
帰って来て早々に説教なんてひどーい!」
ばぁちゃんの言う通りなのだが。
母親は靴を玄関に運んで、
これでどうだと言わんばかりに
どや顔をした。
…どや顔する場面でもなんでもないが。
ばぁちゃんは呆れて、母親のご飯の
準備をしに台所に向かった。

