夏 色 の 風





バス停は来た時に見てるし

一応場所は分かってる。




"濡らしちゃダメなもの"って

なんだろう…?

美術用品とか?




そんなこと考えながら、

バス停までの道のりを走った。




歩けば10分くらいだったけど

ダッシュしたので5分くらいで到着。




荒い呼吸を整えながら、

傘を差してきたものの走ったせいか

結構びしょ濡れだった。

バス停は雨宿りが出来るようになってて

中にはベンチがある。





そこに、早苗はいなかった。





「え゙っ?!なんで!」



周辺を見回すが、いない。

雨が降っているのに…

どこ行った?!また遊ばれたの、俺!




急に足に疲れがきて、

ベンチにどかっ、と座り込む。




あー、マジあいつー…!!




「俺、女なんか嫌いだ…」




ぽつり、と呟く。




もう少ししたら帰ろ。阿呆らしーや。

なんなんだよ、俺。

馬鹿みてぇじゃんか。

あ゙ー…だりぃー…