夏 色 の 風





お詫びの品ということで、

ケーキ代と頼んでおいたコーヒー豆代を

安くしてもらえた。




輝は「お代はいらない」と言ったが、

なんとか言い聞かせ、古山田さんにも

協力してもらい50%オフで決着した。




店を出る時、輝が今にも

泣き出しそうになりながら、

精一杯の笑顔で見送ってくれた。

直之は、貼付けた笑顔ではなく

心から微笑んで、最後に輝の頭を撫でた。




「輝さんはいい子なんだからさ。

もっと自分に自信を持ちなよ!

勉強頑張ってね」


「ぅ…うひゃいっっ」




古山田さんが深々お辞儀をし、

直之はそれに応じて、来た道を戻った。





家に着くと、父が既に帰って来ていた。


「今日、半休だったんだ。

アイス買ってきてあるぞ」


「お疲れー、サンキュー!」


ソファーに横になりながら

アイスを頬張る母にコーヒー豆を渡し、

直之はアイスを持って部屋に戻った。




その後ろ姿を、両親が

嬉しそうに眺めていた。


「よかったな、いつもの直之に戻ったぞ」


「ほら、やっぱりあたしのせいじゃ

なかったでしょう?思春期特有の

悩みだったのかしらねぇ。

若いっていいわ〜」




直之に平和が訪れたのと同時に、

高橋家にも平和が訪れた。