――プルルルル、プルルルル
自己満な笑いに自己嫌悪を
併発させていると、
居間の固定電話が鳴った。
廊下をダッシュして、
切れる寸前で出る。
「はっ、はい!もしもし!」
ふぅ、と息を落ち着かせる。
『ぁ、もしもし?誰?』
こ、この声は…
「なんだー、早苗かよ!
急いで損したわ」
すると電話の向こうも、
『ナツばあちゃんだと思ったのに
ただのトマト恐怖症男じゃないの』
ぐっ…!
なんだ、いつもだけど
分かっているが、電話もツン…
『ねぇ、悪いんだけど
雨降ってるでしょ?
バス停まで迎えに来て』
「だから傘持ってけって行ったのに!」
『だから、ちゃんと"悪いんだけど"って
断りいれたじゃないの!』
絶対悪いと思ってない…
なんかちょっとムカつく!!
『ねぇ、お願い!
今日絶対濡らせないものを
持って帰ってきたから困ってるのよ!』
「んぁ…分かった分かった。
何時頃?」
『もう着いてて、今雨宿りしてる』
えぇえっ!?
マジで言ってんの?!
「分かった分かった!
今ダッシュで向かうわ!!」
『ぇ…、うん』
電話を切って、傘を2本持ち
ばあちゃんに置き手紙をして
鍵を閉めてバス停まで走る。

