次の日は朝から、直之の
心の中を映したように
空はどんよりとした雲に覆われていた。
昼過ぎ、輝の店に重たい足を
引きずるように進める。
あれから円香からの連絡はなく、
直之からも連絡はしていなかった。
「いらっしゃいませ」
アルバイトだろう男性の店員は
無愛想に、機械的に声を出す。
入口近くの席のテーブルを拭いていた
古山田さんが、直之の姿を確認すると
カウンターから見えない位置まで
直之を引っ張っていった。
「まさか本当に来るなんて…」
"馬鹿なのか、お前は"とその視線が告げる。
「逃げたら逃げたで、なんか
一生追い回される気がして」
「…残念ながら、否定できません。
輝さんは塾が長引いておりまして、
わたしは直之様をお出迎えする為
先に店に参りました。
お昼はもう召し上がりましたか?
輝さんが到着するまで、
まだ時間がございますので
何か召し上がられますか?」
そう言いながら、近くにいた
別の店員を呼ぶ。これはもう、
何か頼むしかなさそうだ。
家で朝ご飯とも、昼ご飯とも呼べる
食事をしたばかりでお腹いっぱいだが、
直之は古山田さんの気迫に圧倒され
結局人気商品というミルクレープを頼んだ。
古山田さんがアイスコーヒーを2つ頼む。
「わたしは直之様に
謝らなければなりません…」
店員が去り、メニューを
サイドに立て掛けながら、
古山田さんはため息と共に言った。
突然の謝罪に驚きつつも、
心当たりがありすぎて苦笑いしか返せない。

