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「はぁ……」
ココに、悩める人物がもう1人いた。
大きなため息をつき、
読んでいた雑誌を閉じる。
携帯をいじってみても、
なんだか落ち着かずソワソワした。
「どうしたの?具合でも悪いの?」
祖母が、心配そうに顔を覗き込む。
「えっ?ぅうん、至って健康だよ?」
「あーら、じゃあ恋煩い?」
関係がないはずの母親が、
夕飯をテーブルに並べながら言った。
…下手くそなウインク付きで。
「まぁ!恋煩い?素敵ねぇ」
「なんでそうなるのよ!
話しが飛躍し過ぎ!全然違うもんっ」
2人のペースに巻き込まれると
あらぬことを喋ってしまいそうで、
円香は雑誌を持って自室に逃げた。
ピンク色で統一された部屋は、
なんとも円香らしい。
円香はクリーム色の生地に
ピンク色のビジューと刺繍が施された、
お気に入りのクッションを抱え込んだ。
「はぁ……」
もう一度ため息をつく。
なんだか最近身体の調子が悪い。
大好きな亮佑、立石先輩を見ても
全然ときめかない。
風邪でも引いたのだろうか。
それとも遅れている女の子の日のせい?
――いや、違う。
最近おかしいのは、直之から
(仮)とはいえ彼女役を頼まれてからだ。
早苗に成り切るのは楽しみだが不安だし、
フった男の彼女役というのは
随分おかしな話しだ。

