やはり亮佑最優先…。
直之はがっくり肩を落とすと、
携帯を閉じてベッドに寝そべった。
せめてこういう時くらい、
優しくして欲しいのだが。
いつの間にか眠り、
目が覚めるともう朝になっていた。
近くに置いてあった携帯に手を伸ばすと
充電が切れて真っ暗な画面になっている。
すぐに充電器を突っ込み、
大きな欠伸をしてから身体を伸ばす。
歯を磨いていないため口の中が気持ち悪いし
晩御飯を食べ損ねたので
腹と背中がくっつきそうだ。
リビングでは母親が
鼻歌を歌いながらキッチンに立ち、
父親が調子の外れた母親の鼻歌に
苦笑いしながらネクタイを結んでいた。
「おはよ…」
「おはよう、直之。
どうした?顔色が悪いぞ。
昼間っからクーラーの下で漫画なんか
読んでるんじゃないだろうな」
「読みたいけど、ね…
あっちの玩具だよ、俺は」
あっち、と母親を指差す。
父親は察したのか気の毒そうな顔をして、
顔を洗ってこいと息子の肩を叩いた。
出勤する父親を、朝食後のカフェオレを
飲みながら送り出した直之は、
母親がニコニコ笑っているのに気付き
早々部屋に引っ込んだ。
朝っぱらから使われたくはない。
充電中の携帯を開き、電源を入れると
携帯が尋常じゃない震え方をした。
思わず、携帯を落としてしまうが
床に落ちてもなお震え続けている。
「な、何だ…?!」
背中に冷たい汗が流れる。

