「早苗が立石と出て行った時は、
意味深なこと言うから円香が勘違いして
俺は俺で暴走して風邪引いて倒れるし。
あれは、意味深に言い残した早苗が悪い!
俺って馬鹿じゃん?
脳みそ筋肉で出来てる俺が、
必死に頭捻らせたんだからな」
腕組みをして、うんうん唸る俺。
早苗はぐうの音も出ないのか、
不満たっぷりの顔で黙っている。
胸が尋常じゃなく鼓動している。
まるで、身体の内側から
太鼓を叩かれているみたいに。
すぅっと息を吸い込み、
ふぅっと息を吐き出した。
――もう迷わない。
「早苗の過去を知ったときは、
かなり驚いたけど…思ったんだ。
コイツには誰かが側に
いなきゃいけないんだって。
もう、1人にはさせられない…って。
早苗が望むなら、どんな時も
側にいたいと思った」
早苗が「えっ?」と聞き返すように
顔を上げて俺を見た。
照れ隠しでわざとそっぽを向く。
「おっ、おかしいよなぁ。
こんなツンツンツンデレ女だぜ?
きっといつか殺される」
「は?!…お望みなら
今すぐ叶えますけどっ?」
うん、本当に殺されそうだ。
無理矢理話しを続ける。
「明日…もしくは明後日には
もう帰るくせに、何言い出すんだって
思われるかもしれないんだけどさ。
…ツンツンツンデレなお前の隣に
いちゃ、ダメ…かな?
早苗の1番近くにいさせて欲しい…です!」
口から出た言葉に、思わず赤面する。
全力で手で顔を隠す。
やっぱり恋愛経験、ましてや
告白経験ゼロの男がこんな発言
するもんじゃねぇえ!!
自分の発言だけど胸やけしそう。
最後の「です」は、異常に高い声が出た。

