「悪かったな、難しい顔をする

機会が少なくてっ」


「分かってるわよ、脳みそも

筋肉で出来ていそうだものね」




ニッコリ笑う顔が、とてつもなく可愛い。

…が、言ってることは憎たらしい。

早苗が男だったら、笑顔で殴るだろう。




「で?ご飯どうするの?」


「あ、食べる。先に着替えして来るな」


「じゃあ温めておくからね」




部屋に戻って、深呼吸する。




なんだ、なんだ。

あの気まずかった空気は

一体何だったんだ?!




全然普通過ぎて、どこから

ツッコミを入れるべきなんだろう。

それとも、早苗は知ってるのかな…

今日が、今夜が、ココで過ごす

最後の夜になるかもしれないということを。

それで、空元気で明るく

送り出そうとしてくれてるのか?




早苗の反応が分からなさ過ぎて

部屋着に着替えつつ頭を抱える。




ぁあ、ばあちゃん

なんでよりによって今夜いないんだ?!

樽澤さんも、腰痛めるの

タイミング良すぎるだろ…






部屋を出る前にもう一度深呼吸をし、

気持ちを落ち着かせた。






そうか、逆に言えば、

ばあちゃんがいないってことは

告白するラストチャンス…。




腹を括らねば。




円香、直之、少しだけ立石に

背中を押してもらったこの気持ちを――




早苗に伝えないと。

どんな結果になろうとも、

後悔しないように。










俺、出陣します!!!!