「じゃあ、なんとしても

ナエちゃんと上手くいってもらわなきゃ。

また亮佑とココで笑い話したいもん」




その裏で、誰かが犠牲になっている。

…誰か、が。




「さっき直之に喝入れられたしな」


わざと名前を出してみた。

親友への恩返しを、少しでもしたい。


「直之が?…あはは、

1番応援してるのは直之だもんね。

この間の電話で言われたもん、

"絶対お前の夢を正夢にさせるもんか"って」


「なんで直之には配役がなかったんだよ」


「知らないよぉー。

レアキャラの金髪1はいたのにね。

きっと……」


そこで一度言葉を止めた。




ん?どうした?

横を見ると、何故か真っ赤な顔の円香。




「顔…」


「ひょわっ?!ななな、なんでもにゃい」


「…大丈夫か?」


一体どうしたと言うんだ。

円香の中で、よっぽどのことが

あったのだろう。

全力で顔を横に振ったと思えば

青い顔をして口を押さえている。


それから、突然俺の顔を見て

「あたしが好きなのは、亮佑!

ファンなのは、立石先輩!」

と、まるで確認するように言った。




…ははぁん?




さすがの俺だって、

分かっちゃったかもよ?