ばあちゃんが帰って来た後、

2人で草むしりをした。

その間に、さっき母さんから

連絡があったことと、夜にまた

電話してくるらしいことを伝えた。




「そうかい…淋しくなるねぇ…」


「俺もだよ。だけど、

また遊びに来るからさ」




ばあちゃんには本当に

感謝の気持ちでいっぱいだ。

早起きも、家事手伝いも、畑仕事も

一通り出来るようになった。

この夏休みを家で1人で

グータラ過ごしていたら、

出来なかった経験ばかりさせて貰った。




「んだねぇ。いつでもまたおいで」


ニッコリ笑ったばあちゃんのえくぼが

可愛く見える。…なるほど、

樽澤さんはこの笑顔にやられたな。





早苗が帰って来たのは4時頃で、

久しぶりに顔を合わせた気がする。




「おかえり」


「…ただいま」




聞こえるか聞こえないか、

微妙な声で言う早苗。




早苗も俺があからさまに避けているから

俺を避けようとしているみたいだ。




そのまま家の中に入った早苗の後ろ姿を

追いかけようとしてやめた。




今は独断で動かないほうがいい。

円香の調査報告を聞かなくては。




畑仕事の後、軽くシャワーを浴びる。

携帯を見ると円香から連絡があり

またあの河原で待ち合わせを

することになっていた。




嫌じゃないんだけど…、

ごめんな、直之!!




「ばあちゃん、俺出かけて来るから!」


「いってらっしゃい、気をつけてね」




ばあちゃんの言葉を背中で聞いて

大急ぎ家を出る。待ち合わせの時間が

かなり迫っていた。

こうなったら河原まで全力ダッシュ。




もう少し待ち合わせ時間にゆとりが欲しい。