そんなことより…
明日には母さんが来る。
つまり、明日または明後日で
ここの生活ともさよなら?
…早苗とも、さよなら?
『亮佑のナエちゃんに対する気持ちは
そんなもんだったの?』
今更頭にこだまする円香の言葉。
もう、足踏みしてる暇はない。
このままでいいのか?俺。
今のままじゃ、結局早苗と
疎遠になるような気がする。
顔も合わせられない状況だ。
離れれば、もう絶望的だろう。
結局俺は、頭がパンクしそうになり
直之に助けを求めた。
数回のコールの後、眠たそうな声。
夏休みだからって、グータラな
生活してんだな…。
頼むぞ、未来のドクター。
『どーしたよ』
「明日か明後日に、そっち戻る」
『随分急だな。…で?』
"で?"
やっぱり円香から何かしら聞いてるな。
「俺、どうすりゃいいのか分かんねぇよ…」
『だと思った。もっと早く
連絡してくると思ったけど、
お前なりに頑張ったんだな。よしよし』
俺は犬かっ!
…ツッコミたいが、
ツッコミを入れられる立場にない。
『落ち着け。円香が早苗ちゃんと
話すって言ってたから。
今日も劇の練習あるみたいだし、
多分話してはいると思う』
話すって…何を?
申し訳なさすぎるが、今円香と直之が
俺の為に何をしてるか見当がつかない。
そんな俺の考えを見透かしたのか、
直之は息を吐いてから言った。
『いいか?円香が出来るのは
"地ならし"程度だ。後はお前次第。
上手くいくも、玉砕するも、
お前が決めることなんだからな』
「玉砕済みですけど」
『1回の玉砕で諦められるほどの
恋だったのか?そうじゃねぇだろ?
"どうしていいか分からない。"
つまり、行動するつもりはあるんだろ?
んじゃ、実行しろ』
どうやって?

