家に帰って、ばあちゃんの
夕飯の手伝いをしたが、
早苗が帰って来たので部屋に退散した。
顔を合わせにくい…。
今朝だって、寝坊したふりをして
早苗が家を出てから起きた。
ぁあ、夕飯どうしよう…。
『いらない!』なんて言えるほど
俺の身体は柔軟じゃない。
支度を手伝ったのもあってか、
腹の虫が鳴り出しそうだ。
直之に相談してみようか。
いつもならすぐ頼るところだが、
直之が果たして俺の味方をするだろうか。
円香と通じていたら厄介だ。
きっと『円香の言う通り』しか言わない。
別に円香の言ったことを
批判してるわけじゃないが、
どこかで俺の心が冷静に言うんだ。
『それで?また僅かな期待を持って
その期待が裏切られたらどうするんだ?
きっと立ち直れなくなるぞ』と。
二の足を踏んでいるような気持ちだ。
今、俺は分岐点にいるのかもしれない。
このまま、気まずいながらも
それなりの距離を置いて早苗に接するか。
または、円香の言うように
もう一度奮起して玉砕するか。
2つに1つ。
馬鹿な俺には、どちらの道も
地獄に繋がっているような気がする。
はぁ…一体どうすればいいんだよ…。
結局、寝たふりをして夕飯は食べず
早苗が風呂に入ってる間に
起きたふりをして夕飯を食べて、
上がってくる前にまた部屋に戻った。
答えを早く出さないといけないのに。
俺には時間があまりないのに。
俺は立ち止まったままだ。

