夏 色 の 風





なんか変なの…




この早苗と共通点があったとは…

い、意外過ぎる。




「ほ、本当に?」


「嘘ついてどうすんのよ。

初めて来たときにね、

嫌だっつってんのに出されて

"食べなきゃ家じゃ預からない"とか

無茶苦茶なこと言われたの」




ばあちゃん、えげつない…!

そういえば俺も昨日食べる?

とか聞かれたな…。

あの時は流れたけど、もしかしたら…




ばあちゃん、怖い!!!泣




「ほら、食べてみな」




また新しくトマトを取り、

制服で軽く拭いてから

俺に突き出す。




やっぱり抵抗はある。

っていうか身体の98%が

トマトを拒否している!





でも、俺の中の2%が

腕を上げてトマトを受け取り

唾を飲み込んで、震える唇で

どうにか口元に運ぶ。




よ、よし…

ガンバレ俺の2%の勇気…




がぶっ




みずみずしい果肉が

口の中いっぱいに広がる。

すっぱいのかと思ったが、

意外と甘くて食べやすい。




一口飲み込むと、早苗が「どう…?」と

顔を覗き込んで来る。