夏 色 の 風





内心焦り出したが、

早苗が居間を出て行ったので

そのままうやむやに終わる。




縁側から外に出たらしい。




俺はその後ろ姿を視線で追いつつ、

自分も縁側から外に出た。




空を一瞬見上げれば、

茜雲と濃紺、薄いオレンジ色が混じり、

うっすら星が輝いていて、太陽はもう

山の陰に隠れてしまっていた。

もうじき暗くなって視界も悪くなる。

それに少し肌寒い。




なんだか少し、悪い予感がした。










早苗はトウモロコシが

植えられている辺りに、

うずくまっていた。




声を掛けるか悩んでみるが、

俺の頭で考えても答えは

そう簡単には出ない。なら、

失敗を恐れず行動に移すのみ!…だと思う。




「早苗」


早苗は大きく身体を震わせた。

長い髪の毛が地面につきそうだ。


「大丈夫か?」


ボキャブラリーが少ないと、

こういう時どんな言葉を

かけたらいいか分からなくて困る。


「………」


早苗は黙ったまま答えない。

それなら、と近付こうとしたが


「来ないで…!!」


早苗に制止されてしまう。