夏 色 の 風





ばあちゃん家に帰ると、

早苗がいつもより早く帰って来てて

ばあちゃんと一緒に畑で

収穫作業をしていた。




「おかえり、亮ちゃん」


背の高いトウモロコシの間から、

ばあちゃんが背伸びをして俺を見つけ

手を振ってくれた。俺も振り返すが、

早苗は作業に没頭したまま

俺を見ようともしなかった。




何だろう…

今朝までは普通だったのに。

今更ヒロコたちの言葉を思い出して

頭にきてるとか?




どうしたもんか悩みつつ、

一度部屋に戻って荷物を置き

畑に行って作業を手伝った。




早苗とは、一言も口を開かずに。









その夜。

ばあちゃんが収穫した大量のトマトを

ルンルンで調理をしている間に、

俺は少し頭に来て、早苗に問い質した。




なんの覚えもないのに、

無視され続ける意味が分からない!




「おい、早苗」


チラリとこっちを見るが、

またプイっと顔を反らされた。


少し傷付く。

なんで?俺何かした?!


普通に朝、「いってらっしゃい」と見送り

俺が円香と会って帰って来たら

この状態。…うん、意味が分かりません。




「おい、何なんだよ。

言いたいことがあるなら、

はっきりそう言えばいいだろ」


しかし早苗は黙ったままだ。




あー、もう。

本当にどうしよう。