「ヒロコ…あなた××高の○○先輩から

告白されたのよね?

アリサ…あなた、嵯峨山くんから

告白されたのにも関わらず、

はっきり返事もしないでキープしといて

△△大学の5つ上の大学生に

手を出したらしいじゃないの。

しかも?略奪愛じゃなかった?

峰岸くん、あなたはずっと

ヒロコに片想いしてて、修学旅行の時に

ヒロコに心配して欲しくて

車酔いなんてしてないのに

酔ったフリをしてたわよねぇ。

嵯峨山くん、あなたはアリサが

大学生に手を出したことを知ってて、

フラれるのが怖いからって

気付いてないフリをしてるのよね?

………全部、風の噂だけど」




勝ち誇った早苗のどや顔に、

4人は青い顔で口をパクパクさせた。




「ばあちゃん、あたしと亮佑が

隠れてコソコソ付き合うわけないでしょ」




それだけ言い残すと、

早苗は縁側から居間に入り、

荷物を持って台所に消えた。




4人を少し不憫に感じる。

だが、自業自得という思いもある。

亮佑は何も言わず、そっと

茶菓子を差し出した。




(恐るべし…女子の情報網)




噂好きで、あんなに元気が

有り余っていたヒロコが

一瞬にして固まっている。

それはアリサも一緒で、

男性陣は顔色が真っ青だ。




しばらくしてから4人は、

そっと帰って行った。












かなり後になって、

ヒロコは告白された先輩と付き合い、

アリサは大学生にこっぴどくフラれて

嵯峨山と付き合うことになり、

峰岸はヒロコにフラれて部活を頑張り

その結果女子にモテて、学年1の美女と

付き合っているらしい。










…すべて、風の噂で聞いた話しだが。