夏 色 の 風





「な、なんのイジメ…?」


「いいから食べてみなさいっ」


「は!?むっ…無理です…」


「無理じゃないから、ほら」




口元に押し当てられ、

もう食べるしかない状況。

仕方なく、目をぎゅっと閉じて

ほんの、本当にちょっとかじりつく。




今すぐ、今すぐ吐き出したい。




が、目の前には

トマトを持った悪魔(早苗)が…。




もう、どうにでもなれ!!




―――ごくんっ




大量の唾と共に飲み込んだ。





「どう…?」




ちょ、顔近づけんな…!

今、まじでいっぱいいっぱいなのっ




……て、あれ?




「平気でしょ?」




そう言って、

俺がちょっっぴりかじったトマトを

あっという間に食べ切る。




「どう?昔、トマトが

泣くほど嫌いだったとは思えないでしょ」


「えっ、早苗も?!」


「うん。市販のトマトってさぁ

なんかガツガツしてるし臭いし?

大嫌いだったんだけどね、

ココに初めて来たときに、

無理矢理食べさせられて。

あれ…これ美味しいじゃん!ってなった」