夏 色 の 風





亮佑が頭を悩ませていると、

ヒロコが先に声を上げた。


「そうか…分かったわ!!」


「何を…?」


亮佑はまだ、発言していないのだが。


「きっと…人には言えないような

壮絶な…壮大な愛の駆け引きがあったのね」


亮佑は思わず噴き出しそうになる。


今すぐ、ヒロコの頭を開封して

中身を見てみたいものだ。

どうやったらそういうことになるのか。

映画やドラマ、漫画にアニメに

影響されまくりである。




「ごめんなさい…一途さん。

あたしったら…余計なこと聞いたわ」


「いや、事実は全く違くて。

というか早苗とは…」


「?!」




4人全員が驚いた顔で亮佑を見る。

亮佑も、何故驚かれたのか分からず

一緒になって驚く。




「今…なんて?」


「は?あ…だから、早苗と俺は」


「まぁ!まぁまぁまぁ!!」




ヒロコとアリサが手を繋いで

今にも踊りだしそうな勢いで、

ぶんぶん手を振った。




(何なんだ…めんどくさい)


今すぐ縁側から外に放り出したい。

そんな思いに駆られる。




早苗が花火大会の時、

亮佑と付き合っていると勘違いされて

『あいつらならすぐ忘れる』

みたいなことを言っていたが、

彼らは忘れるどころか

ばあちゃん家まで尋ねて来て

真相を語らせる気でいたに違いない。




今日早苗がいなかったのは

不幸中の幸いだろう。

結果、亮佑が被害者になってしまったが。