ヒロコは延々と話し続け、
亮佑が話しの腰を折る暇もなく、
というよりも他の3人も傍観者に
なってしまう勢いだった。
「で?
ナエちゃんと付き合ったきっかけは?」
5分程、聞いてもいない身の上話しをされ
やっと亮佑が口を開く機会を
与えられたと思いきや、これだ。
「あの…」
4人の熱い視線に耐え兼ねて、
早苗の知り合いということもあり
家の中に入れることにした。
玄関で立ち話しながら話すことじゃないし
彼らの誤解を解くには時間を要しそうだ、
と亮佑は悟ったのだ。
居間に案内し、麦茶を出す。
今度はアリサが口を開いた。
「そういえば、彼氏さん。名前は?」
そうだった。亮佑は名乗る
タイミングすらなかったのだ。
「壱逗 亮佑です…」
「一途!まぁ、名前からして大物だわ。
ナエちゃんも幸せねぇ」
ねぇ、と首を斜め30度に傾げ
女子2人は顔を合わせてニヤニヤした。
亮佑は、どうしたものかと頭を抱える。
「で?で?一途なお兄さん、
どうやってナエちゃんと
付き合うことにしたのよぉ!」
(ついに来た…!)
どう言ったら、誤解だと気付くだろう。
それより先に、亮佑の名字に関して
訂正を入れるべきだろうか。

