夏 色 の 風





――ピンポーン、ピン…ピ…ピンポーン









「うるさっ!!!」




さすがに亮佑も飛び起きる。




窓に写った自分の頭が

若干乱れてはいたものの、

鳴り止まないチャイムを止めるため

頭をなんとなく撫で付けてから

慌てて玄関に走った。




「はい?どちら様でしょうか」




うんざりしながら出ると、

ようやくチャイムが鳴り止んだ。




「やっほー!ナエちゃー……あ」


「え?」


亮佑は瞬く間に包囲された。


「だ、誰?」


キラキラした瞳の女が2人。

運動部なのかスポーツ刈りの男が2人。




4人の男女に囲まれて、見つめられ、

亮佑は記憶の彼方に霞んでいた顔を

なんとなく思い出した。




「もしかして…早苗の中学の…?」


ついでに言えば、噂好きの4人。




亮佑と早苗、直之が

花火大会に向かう途中で

早苗に話し掛けていた中学の同級生だ。




(ぁあ、そうだった…。

確か俺…早苗の彼氏だと思われてたはず)




ようやく囲まれている理由が分かった。