円香と早苗、ばあちゃんは

立石と向かい合うように座っていた。




俺が現れると、「やぁ」と片手を上げる。




俺が座ろうとすると、片手でそれを制し

「2人だけで話しがしたいんだ。

君の部屋にいっても?」

と、笑顔を崩さず言った。




すかさず早苗が立ち上がり、

少し怒った顔をする。


「亮佑は病人なの!」


「分かってるよ。だからこそ、

彼の部屋で話そうって言ってるんだ。

いいだろ?壱逗 亮佑君」




俺は頷いた。

2人で俺の部屋に向かう。

早苗とばあちゃんが心配そうな顔をしたが

この話しは俺とコイツでケリを付けたい。

特に、プライバシーもあるから

円香に聞かせるわけにもいかない。




部屋に通すと、立石はキョロキョロした後

布団の脇に座布団を敷いて座った。

俺も遠慮なく、布団に入って

上体だけを起こす。




「殺風景な部屋だね」


「ここは俺の部屋じゃねーから。

どうせ、あと1週間もしないで

家に帰るし」


「ふぅん…」




そう言いながらも、立石は

視線を動かし部屋を物色していた。




早苗が珍しくノックして入ってきて

2人分のお茶を置いて出ていった。




緊張した空気が、2人の間を流れる。




最初に口火を切ったのは、

立石だった。