ギャーギャー言い合ってると、

ばあちゃんが部屋に駆け込んで来た。




なんだなんだ。

ばあちゃんが走ってる姿なんて

滅多に見ないのでびっくりした。

円香もそう思ったのか、

驚き過ぎて腰が少し浮いている。




「大変なんだよ、亮ちゃん!」


まさか畑が?!

俺も円香同様腰を少し浮かせた。


「実は…今……

立石さんが来てるんだよ!

亮ちゃんの見舞いって言うんだけど

どうしようかねぇ……」


「早苗は?」


「今、立石さんの相手を…

あら亮ちゃん!

声出るようになったのね!

よかったわねぇ」




って!今はそれどころじゃねーだろ!!




ばあちゃんと円香を先に行かせ、

寝間着なので上にパーカーを羽織って

戦場に行くつもりで部屋を出た。




軋む床が妙な緊張を呼ぶ。




台風がやっと去ったと思ったら…

今度はこっちの台風ですか…。




一応病人なんだから勘弁してくれ……




居間の手前で深呼吸。

吸って、吐いて、吸って、吐く。




気を引きしめてから

居間に入った。