ばあちゃん家へは新幹線で2時間、
さらにJRで1時間半、バスで30分も
かかってしまう。つまり、ド田舎。
バスも一日に3本だし。
ばあちゃん家の周りには、
水田と畑、遠くに民家がある程度。
『お隣りさん』は、
チャリで5分の距離だ。
恐ろしい。
着いたのは夕方で、
蝉の声は幾分弱くなっていたものの
それでも都会にある我が家からすれば
十分煩い。
「亮ちゃん、麦茶飲む?」
腰の曲がったばあちゃんが、
俺の荷物を運ぶのを手伝いながら
しわしわの顔でにっこり笑う。
「うん、喉渇いた!」
「トマトもあるから、食べんさい」
「ぁ、俺トマト嫌い…」
ひどく残念そうな顔をして
ばあちゃんは荷物を運び終えると
麦茶を取りに行った。