夏 色 の 風





ばあちゃんは目を見開いて驚き、

少しだけ目尻を下げて笑った。




「そう…早苗がねぇ。ふふふ。

今日は1日寝てていいからね。

夕方にまた円香ちゃん来るって

言っていたから」




なんだ、円香は夕方からしか来ないのか。

はっきり言って頭は元気になったから

ただ寝てるのは暇なんだけど…




お粥を気合いで食べ、

片付けようとしたらばあちゃんに

軽くあしらわれて部屋に戻った。




最近家事をする習慣が身についたからか

食べた物は自分で片付ける、という

当たり前のようで出来なかったことが

サラッと出来るようになった。

ばあちゃんに洗わせるのは

少し申し訳ない。

お粥を食べた器って落ちにくそうだしな…

水につけておいて、それから洗えば…

いや、水じゃなくお湯の方が落ちるかも。




部屋に戻る僅かな距離でも、

床のココが汚れてる!

あ、窓に指紋が…

などといちいち立ち止まって思う。




多分窓に指紋をつけたのは

樽澤さんだな…あの人、大体

玄関じゃなくて居間の縁側から入るからな。




布団に横になっても、

天気が良くなったら布団を干して…

シーツも枕カバーも洗おう。

あ、そういえば畑は大丈夫かな。

トウモロコシもうすぐ収穫なのに…

トマトは全滅してよし。

でも早苗が悲しむかな…

ぁ、インゲン食べたいな。お浸しで。




などなど考え始めたらきりがない。

きっとばあちゃんに言っても

一蹴されるだけだから言わないが、

身体が動きたくてウズウズしている。




早く風邪治れ…治れ…治れ…




暇過ぎたので羊を数えた。

記憶があるのは1786匹目。

それ以降はこんがらがって、

頭の中が羊に荒らされたので

仕方なく寝ることにした。