次に目を覚ました時、
驚くほど身体が楽になっていた。
この程度で済んでよかった…
さらに悪化したらばあちゃんに
申し訳なさすぎる。
部屋は暗くなっていた。
みんな居間にいるのかな?
起き上がろうとしてみたが、
身体は軽くなったものの
動こうとするだけで頭が鐘を鳴らす。
仕方なく、暗闇に目が慣れてきたので
視線だけを動かした。
うん。やっぱり俺の部屋だ。
しかし何か違和感を感じる。
なんだろう…
視線を扉の前に動かすと、
誰かの正座している足が見えた。
まっ…まさか?!
ばあちゃん家に来てから一度も
出会ったことはないけれど……
幽霊さんですか?!
恐怖に身体が強張る。
声も出ない。…元々あまり出せないけど。
あれ?でも幽霊って
足がないのが相場だろ?
ばあちゃん家の幽霊は足付き?!
色々考えて、かろうじて動く足で
身体をわずかに扉から遠ざけた。
ビ、ビビってるんじゃないからな!
ただ少し、鈍った身体を
動かしたかっただけだ!
この幽霊さんは何故突然現れたんだろう。
今まで出会わなかったのに。
まさか…俺をお迎えに来たパターン?
幽霊さんより悪い、死に神さん?!
冗談じゃない。
俺の最期の言葉が
『ま…ど…いた……』
なんて最悪だ!!もっと、こう…
ちゃんとしておきたいのに!!
俺が身じろぎしたのに気付いたのか
幽霊さん(または死に神さん)は
立ち上がって布団の横に座った。
俺は起きていることがバレないように
ぎゅっと目を閉じる。
幽霊さん、または死に神さんは
布団からわずかに出ている
俺の手を掴み、片方の手で布団を
かけ直してくれた。
随分優しい奴だな…
油断させるつもりなのか?
飴ムチ作戦なのか?
俺の脳内警戒レベルが上昇する。

