夏 色 の 風





「よっし!!

遊園地に決定!!

旦那が運転するから、

2人とも後ろ乗って」




円香が激しく落ち込む中、

早苗は元気よく言った。




「遊園地…?」


「うん、愛美ちゃん

遊園地初めて?」


「うん!!!」




亮佑と円香の長女――愛美は

早苗に負けないくらい

元気よく首を縦に振った。


(嘘つけーー!2ヶ月前に

連れてったばっかりでしょうが!!)


なんて言える訳もなく、

早苗のキツイ視線をかい潜り

立石のワゴンに乗る。

円香の車からチャイルドシートを移し

愛美を座らせ、横に円香が座る。

車内は青林檎の香りが漂う。




先程の精神的疲れからなのか、

最初は愛美の話しに頷いていた円香も

段々眠くなってきて、

愛美に起こされたときには

遠くに観覧車が見えていた。




遊園地に着くと、愛美は立石と共に

さっそくジェットコースターに乗った。

円香と早苗は近くのベンチで

久しぶりのガールズトークを始める。




「マナちゃん本当に可愛いなぁ」


「ナエちゃんも早く子供作りなよー。

先輩はきっと最強の親バカになれるよ」


「あっはは、そうかな。

あたし的には、亮佑が

良きパパやってるのが不思議なんだけど」




早苗は足をぶらぶらさせながら、

その美貌を存分に活かした笑顔を

振り撒いた。