――ヘクシッ

くしゃみが出る。




これは風邪引いちゃうパターン?

今すぐ熱い風呂に飛び込みたい。




早苗は立石の家で泣いてるのかな。



今日のやつは俺だって怖い。



一瞬目の前が明るくなり、

まるで地球が真っ二つに割れそうな

馬鹿でかい雷鳴。耳がキーンとする。

それに地面を這うような低い音。




早苗なら泣きじゃくってるな、絶対。




段々、頭を締め付けられるような

痛みに襲われた。

こりゃヤバいわ…ピンチだわ…




アンパ〇マンさん、助けて下さい

あなたのあんぱんが今必要です…

ぁ、でもあいつ…雨に弱い…!!




孫悟空さん、今あなたの気持ちが

とてつもなく分かる気がします…

三蔵法師さん、どうか悟空に

金色の輪をつけないであげて下さい…

動物虐待反対ー!!




そんなことを考えるうちに

徐々に意識が遠のく。




あー…

地元の新聞で騒がれるのかな。

『高校生、バス停の待合室で死亡!』

母さん、ばあちゃんを責めないでね。

お線香はあまり匂いがしないやつがいい。




ごめんな、親より先に旅立って。




俺って親不孝者だ………




はっきり見えたトタン屋根も、

ぼやけてぐらついて見える。

頭が割れそうに痛い。




くそ…体力だけが取り柄だったのに…









まどろむ意識に身を任せ、

そのままゆっくり目を閉じた。