夏 色 の 風





『待ってるだけじゃ何も変わらない。

だろ?お前だって分かってるはずだ。

中学で成績悪かった亮佑が、

頑張って俺と同じ高校に入れたじゃん。

それは、どうにかなるさーって

何もしないでボーっとしてたら

絶対叶わなかっただろ?

行動を起こして、努力したから

今の亮佑がいるんだろ?

それと同じだよ。早苗が帰って来ない、

だから連絡を待ってる…。

それはばあちゃんでも出来るだろ」




まるで小さい子を諭すような言い方だ。

悔しい…けど、言い返せない。

全て事実だから。




3人の内、1人が出てって

2人が同じことを同じようにしても

意味はない。1人で出来ることを

わざわざ2人でやる必要はない。




なら。




俺が出来ることは?




「…説教臭いわ!

くっそー、なんか悔しい…

直之のくせに!」


『お前より格段に頭良いからね。

たまには利用しないとね』


気障っぽい!!ムカつく!!


「アドバイスは以上ですかね、隊長さん」


『おぉ!じゃ、頑張れよ!

あとそっちに台風近づいてるから

気をつけろよ!じゃあな』




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