夏 色 の 風





『…話し聞いた。

大変だったな』


"大変だった"じゃない。

"大変"なんだ。


「じゃあ電話して来るなっつーの!

話し聞いたらわかるだろ?

連絡待ちしてんだから」


『…分かってるよ。

分かってるけど、その…。

亮佑と早苗くっつけ隊の隊長として、

お前にグッドなアドバイスを…』


ぁあ、そんな隊もあったっけ。

直之と円香が勝手に始めた隊だけど。


『お前、待ってる"だけ"か?

亮佑がこっちに帰る日までに

帰って来なかったらどうするつもり?』


グッドなアドバイスとか言うから

ふざけたことを言うのかと思えばコレだ。


俺がそうなって欲しくないと

願っていたことを、的確に言い当てる。




早苗がこのまま帰って来ない。

考えないようにしていたけど、

残念ながら有り得なくもない話しだ。




「直之ってズルイな」


『はぁあ?なんでだよ。

友達思いの最強にいい奴だろーが!』


だから、それがズルイんだって。




普段はチャラチャラしてて

無駄にテンションが高くて

人の睡眠妨害をするくせに、

1人快眠・熟睡・夢見も最高のくせに

時々"友達思いの最強にいい奴"になる。

本当にズルイ奴……