部屋に戻ると、置きっぱなしの携帯に
着信が入っていた。
もしかして、早苗か?!
携帯に飛びつくと、
着信は直之からだった。
タイミング最悪な奴だな…
空気読んでくれ。
かけ直すと、電話の向こうからは
いつも通りのハイテンションボイス。
今はただただウザいだけ。
「何か用」
『うぉ…冷た!
せっかく電話してやったんだからさー
もっと温かくしてくれよ』
あぁ、これは"面倒臭い"パターン。
さっさと電話をブチる。
直之の相手をしてる暇はない。
いつ早苗から連絡があるか
分からないんだから。
だけどしつこい直之は、
すぐに折り返して電話を掛けて来る。
「何か用」
『なんでそんなに冷たいの?!
早苗と喧嘩したのか?ん?図星か?』
ぁあ、もう。
「早苗が家出て行った。
今連絡待ちだから電話してくんな。
切るぞ」
『えっ…家出?!どういうことだ
ちゃんと説明して…』
ブチッ。
『詳しくは円香に聞いてくれ』
とメールを入れておく。
それから20分も経たずに
また直之から電話が入った。

