夏 色 の 風





本当に雨が降りだしそうなので

ばあちゃん家に戻った。




帰るとすぐ、ばあちゃんが

台風が近づいてるから

円香は家に帰るように言う。




最後まで駄々をこねた円香だが

結局押しに押されて帰ることに。



「ナエちゃんが帰って来たら

すぐメールか電話で報告してよね!」


じゃっ、と手を大きく降って

急ぎ足で帰って行った。




それから1時間もしないで

風が強くなってきた。

ばあちゃんが慌てて、畑の様子を見に行き

支えが必要なものには棒を立てて

台風を乗り越えられるように

しっかり準備をしていた。




雨が降り出したのは夜遅く。

ばあちゃん家は古いから

ミシミシとかギシギシとか

不安要素たっぷりの音が聞こえてくる。




「雨漏りとかしないよね?」


「大丈夫じゃないかねぇ…。

一応樽澤さんに屋根を

直してもらったばかりだし」




樽澤さん、本当にばあちゃんが

大好きなんだなー…

言われたことを忠実にやり遂げる。

犬?ばあちゃんのペットなの?




その日の2人だけの夕食は寂しかった。