夏 色 の 風





洗濯機が回り終わったから

敗北感いっぱいの早苗を置いて

洗濯物をカゴに移して、

庭の物干し竿に洗濯物を干していく。




ここでまた円香の攻撃。


「ちょっと、女の子の服も

亮佑が干してるわけ?!

パンツも…ブラジ…ふがっ」


最後まで言わせなかったのは

顔を真っ赤にさせた早苗だ。


「言わないで!お願いだから!」


「ふがふがっ、もふっ」


「ちょっと早苗…さすがに円香が窒息する」


はっ、とした顔で手を離すと

円香は酸素を求めて大きく息を吸った。




「ごっほ、げぇっほ!

何よーぅ、ただ事実を…」


「事実でも辛い!言わないでよ!」




いや…正確には事実じゃないんだが。

洋服と俺の物は自分で干すけど

女の子の…その、下着とかは

ばあちゃんが後から干しますけど。




まぁ…取り込むのは俺だけど

一生懸命、"男"を出さないようにして

見ないふりしてるんだから!




「亮佑、本当にそうなのー?」


「誤解でございますっ」


俺、必死の攻防。


「干してないからね!取り込むけど!」


「結局触ってるんじゃない!」


早苗も円香側か…!


俺がどうやって反撃するか迷っていると

早苗は一人で頭を抱えて唸り出した。




パニクり過ぎて…バグ起こしたな…。




「じゃあ早苗が取り込めばいいじゃん!」


「それとこれとは違うの!」




何が違うんだよ…。




早苗が分からなすぎて、

俺も頭を抱えてしまう。












そこに、

「ぷっ…」

俺でも早苗でも円香でもない、

笑い声が聞こえた。




全員が声のした方を見る。