「「ふぁ〜…っ」」
2人で思いきり背伸びをして、
新鮮な朝の空気を吸い込んだ。
「円香の声で起きたとはいえ、
やっぱり早起きって気持ちいいわね」
「早苗はいつもギリギリに起きるから
バタバタしちゃうんだろ」
「今はバイトと学校と亮佑のお守りで
忙しくて疲れているだけよ。
普段は6時に起きてますーぅ」
唇を尖らせて、笑う。
つられて俺も笑った。
2人で分担して、野菜を収穫する。
もちろん、早苗がトマトで俺がインゲンだ。
トマト嫌いは徐々に改善されてるが、
"徐々に"、であって自分からトマト畑に
飛び込むつもりはさらさらない。
トマトに囲まれる…
想像しただけで鳥肌が立つ。
「そういえばさー」
収穫を終えて、家の中に戻る途中で、
早苗は不思議そうな顔をして
俺のTシャツの裾を引っ張った。
「昨日、のことだけど」
キターーーッ!!!
俺の心臓が心拍数を上げる。
「何?」
知らん顔で、引き攣る顔の筋肉を
総動員で動かした。
「あたしね、変な夢を見たのよ」
真顔で言う早苗は、自分が見たという夢を
感情表現豊かに伝えてくる。
スーパーウルトラ要約すると、
『空を飛んで、ディズニーキャラクターの
ダンボとサーカスで人気者になった』
というものだ。
何故、ダンボ…。

