「あはっ、高ぁい!
空を飛んでるみたぁい」
いつもじゃ考えられない、
甘ったるい声を出して笑う早苗。
…こんなの早苗じゃない…。
部屋まで運んで、ベッドに寝かせた。
俺の首を中々離さなかったので
ちょっと恥ずかしい格好になったけど
無理矢理引きはがして寝かせ、
布団をかけた。
ふぅ…食器洗いよりも大変だ。
部屋を出て行こうとしたら、
寝ていたはずの早苗に
背中から抱き着かれる。
「早苗、ちゃんと寝てろって…」
「やだ…行かないで」
どっきゅーーん!!!!!
早苗もそんな言葉が言えるんだな…
変に感動する。胸がドキドキ…より、
もう身体を突き破って心臓が
出て来るんじゃないかってほど、
心拍数が上がるのを感じた。
直之が寝てた円香にキスをしたって話、
『さいてー!女の子の敵!
塩撒いてやる!ぺっぺっ』
とか思っていたけど……
今の状況ならちょっぴり、
ほんの少しだけだけど!
理解出来てしまう。
悲しきかな、男の性。