いつの間にか眠り、
ばあちゃんに起こされた頃になると
部屋は真っ暗になっていて
携帯で時間を確認した。
円香が来てから2時間程寝たらしい。
直之のおかげで、煩い環境でも
寝れる癖がついたらしい。
ありがとう、直之!
のそのそ起きて居間に行くと、
美味しそうな餃子の匂いが
部屋いっぱいに漂っていた。
「亮佑ー!
体調悪いって聞いたけど、大丈夫?」
わざわざ立ち上がってくれた円香は
心配そうに俺の顔を覗き込んだ。
「うん、ちょっと寝不足だっただけ」
「そう。寝れた?」
「もう大丈夫だって。ありがとな」
少し照れたような顔で、
早苗の隣の席に戻った円香を見て
直之が円香を好きになった理由が
分かったような気がした。
異性として見るなら、
確かに魅力的だと思う。
思うだけで"想う"ことはしないが。
「亮ちゃんも座って。食べよう」
ばあちゃんがいつまでも立っている俺に
無言の圧力をかけようとしたので
慌てていつもの場所に座った。
だけどこの席は早苗の隣になる。
ばあちゃんの席とも隣だ。
樽澤さんがテーブルの隅に座って
晩酌の用意をしていたので、
席を変わるように提案した。
「ばあちゃんの隣がいいでしょ?」
「いや、だか…いいのか?」
こっそり耳打ちすると、
言葉とは裏腹にかなり嬉しそうだ。
2人で席を入れ替わって、
俺はテーブルの端の円香の隣の席に座った。
「じゃあ、改めて。
いただきまーす!」
みんなで声を合わせ、
同時にホットプレートの蓋が開かれ
ぎゅうぎゅうに並べられた
餃子がお目見えする。
「おぉ!こりゃ大量じゃなぁ」
「育ち盛りが3人もいるんだもの。
これじゃあ足りないくらいよ」
席を交換してよかった。
ばあちゃんも楽しそうだ。

