夏 色 の 風





「早苗は元気にしてる?」




ほらきた!

やっぱり早苗を呼び捨てにする!




「えぇ、元気にしてますよ」


「ふーん?あ、そう。

今日君にあったのは偶然だけど、

よく言うじゃない。

"偶然なんかない。あるのは必然のみ"とか」


なんだ、その心理学者みたいな

哲学者みたいなの!

ちょっぴりカッコイイぞ…くそ。




「で、用件は?俺、スーパーで

買うものがあるんで急いでるんすけど」


ぶっきらぼうに言うと、

立石は苦笑いをした。


「そんな怖い顔しないでよ。

俺だって暇でブラブラしてた訳じゃない。

まぁ、簡単な話しだからすぐ終わるよ」


ニコッとまた、憎たらしい顔。




そして、右手の人差し指と親指を立てて

右手を銃のように突き出して、

俺を撃つふりをした。




ど、どうしたらいいんだろう。

反応に物凄く困るんだが…。

大阪人なみに『ウッ…』とか唸って

銃弾に打たれるふりでもすればいいわけ?




反応に困った俺をみて、

前回もそうしたようにフっ…と鼻で笑い

西部劇ばりに、人差し指に

息を吹き掛けた。




ぁあ、やっぱり倒れておくべきだった?

って、俺はなんでこいつのペースに

巻き込まれてるんだ!




落ち着け、落ち着け壱逗 亮佑!