俺には特にこれといって
特技とか趣味がない。
手先は不器用な方だし、口下手だし。
頭も悪い、運動はそこそこ、
体力ぐらいなら自信ある。
……全部人並み程度の力量しかない俺は
将来何になったらいいんだろう。
父親みたいに、サラリーマン?
でも意外と頭いいんだよなぁ。
海外に行っちゃうくらいだから
英語とかもペラペラなんだろう。
母親は専業主婦だし…。
今考えたって仕方ないけど、
周りがきちんと先を見通してるってのが
正直辛かったりする。
置いていかれた感じ。
…そう、例えるならそれ。
風呂場にいても聞こえる、
2人の盛りがっている声に、
ただただ肩を落とすばかりだ。
早苗から申し付けられた
『宿題』はかなり難問で、
まだまだ解ける気がしない。
風呂から上がったころには
早苗はもう部屋に戻っていた。
直之はたっぷり1時間風呂に浸かり、
俺が眠りに落ちかけるころ
ハイテンションで帰ってきた。
今日だけは仕方ない。
もう身体中ぐったりで、
朝まで熟睡コースだけど
最後なんだし付き合おう…。
結局眠ったのは、
記憶がぼんやりしてて覚えてないけど
空が明るくなってからだった。

