とりあえずスイカ様々だな…。
割られて無惨な姿になる前に
拝んでおこう。
ありがとう、スイカくん!
早苗は俺に、長さ1メートル程の
重い木の棒を持たせた。
怪我人なのに…容赦はない。
「じゃー、庭に出て!目隠ししたら
その場で10回、回ってね!」
うきうき、わくわくな早苗に吊られ、
疲れてげっそりしてて、今にも
倒れて眠ってしまいたい俺も
ちょっぴりテンションが上がってきた。
よっしゃー!
やるからには、1発で割ってやる!
ごめんな、スイカくん!
庭に下りて早苗に目隠しをしてもらう。
俺と同じタイミングで
目隠しを外された直之は、
応援なのか野次なのか
分からないことを言って騒ぐ。
「今年は賑やかねぇ。
準備してたかいがあったわ」
ばあちゃんの呟きも聞こえる。
俺はその声を聞きながら
早苗の手を借りて、直立したまま
10回その場で回った。
頭がくらくらする…
ぁあ、とにかく物を壊さないで
スイカに1発食らわせられれば……
ゆらゆらと進み、
棒を振り上げる。
「どぉーりゃーあぁぁっ!!」
気合いの一撃を思い切り振り抜くと……
棒は見事に空を切った。

